夢をかたちに 夢づくり宣言

福田良彦市長 山本繁太郎氏対談

良彦の部屋?
良彦の部屋?

 4月7日の第5回弥生会総会では5周年を記念して、弥生会と縁の深い福田良彦岩国市長と山本繁太郎元内閣官房地域活性化統合事務局長、お二人による対談が行われました。
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 司会 御二方とも弥生会と深い関わりがございます。平成19年春より私たちは岩国の医療を守るため国病を愛宕山に移転する署名活動を行い、20年に衆院議員を辞して市長選に出馬してくださった福田市長を応援しました。
 集まった女性たちで岩国のために活動しようと岩国の明るい未来を創る会「弥生会」を発足させました。その設立総会で衆院補選に出馬されるため帰郷された山本繁太郎さんが山口県にデビューされたのです。共にスタートを切った縁がございます。
 本日のタイトル「夢をかたちに・夢づくり宣言」は御二方のキャッチフレーズを合わせたもので共通するキーワードは「夢」です。
 福田市長は衆院議員の職を辞し山本先生は公務員の頂点といわれる事務次官を目前にしての辞職。全てを投げうっても、という夢をお持ちで、夢をかたちにしたいと思われたからではないでしょうか。そのあたりも、お話しいただくうちに分かってくるのではないでしょうか。
■空港を経済活性化の起爆剤に
 福田市長 皆さん、こんにちは。山本さんと並び「徹子の部屋」みたいで恥ずかしいですね。先の市長選は皆さまのご支援で当選させていただき、ありがとうございます。きょうは第5回総会おめでとうございます。山本さんと岩国の現状をお話ししようと思います。
 3月26日、27日と羽田空港にPRに行きました。大きな反響があり、「岩国錦帯橋空港はいつ開港するんですか」「早く開港してほしい」「一日何便飛ぶんですか」と具体的な質問を多くされました。
 写真はターミナルビル工事現場です。これが基礎です。かなり大きなターミナルビルが建ちます。こうしたかたちで工事が着々と進み、今年中に開港予定です。岩国羽田間に一日4往復、朝1番の便は7時台、最終便はそのまま岩国に泊まるナイトステイとすべく全日空さんと調整しています。
 空港が出来ただけではいけません。経済活性化や観光客誘致につなげていかなければなりません。そこで弥生会の皆さんにお願いがあります。女性ならではの視点で空港利用や特産品開発をいろいろ考えて頂きたいのです。ぜひ東京に売り込もうじゃありませんか。
 山本氏 空港再開事業の一番の目的は地元に育った若者が地元で職に就いて結婚して子どもを成して人生を全うする、これではないかと思うのです。全ての産業が盛んになっていかなければなりません。空港というと、大きな工場だけが便利になると考えがちですが、1次産業から3次産業まで大きな可能性が生まれます。農水産業も便利になります。
 私の東京へのお土産は苺です。これが一番喜ばれる。何しろ朝取れたてで新鮮で美味しい。飛行機は貨物室に沢山詰めていけますからね。朝一番の飛行機で取れたての苺や蓮根を築地に運ぶことが出来る。水産物もそうです。いいものを評価してもらって高い値段で取引が出来る起爆剤になります。
 福田市長 首都圏人口は3500万人です。岩国は15万人ですから約233倍です。その大きなマーケットに売り込む、これが大きなビジネスになります。
 それと雇用です。働きたい若い人が働く場を作らなければならない。岩国には空港もある、大きな港もある、新幹線も通る、すばらしい自然も、錦帯橋もある魅力的なところです。それを私たちが営業マンとして全国飛び回ってPRして回るのです。一軒一軒丁寧に説明し、いろんな企業を誘致してくる、経済が活性化してくるし、それが若い人たちの雇用確保になる。それを山本さんと2人でしっかりやりたい、汗をかきたいと思っています。
■不毛な対立をなくして
 山本氏 トップが動く、直に社長に会って説明する、これが大変重要なことなんです。企業側も、お金が動くんですから慎重に判断しなければならない。市長が直に条件を提示してくれれば安心だし信頼できるんです。県と市と一緒になってトップが企業誘致する。これが大事です。これをやっていかなければなりません。
 福田市長 この4年、山本さんと一緒に仕事させてもらい、いろんな方を紹介していただきました。感じたのは人脈の多様性です。絆という言葉がありますが、山本さんはいろんな方々と築いてこられた絆を、東京だけではなく、全国にお持ちなんです。私が課題解決のため山本さんに相談すると、すぐ答えが返ってくるんですね。いろんな引き出しに、築いてこられた絆や人脈、方法が入っているんです。私が1聞くと答えが10返ってきます。岩国の課題も、いろんな方を紹介して頂きながら解決してきました。
 不毛な対立をなくし、共に新しい町づくりを一緒に手を取り合ってしていかなければならない時だと思うんです。知恵を出し合い、新しい岩国を築き上げる。弥生会の皆さまにも、ぜひお力添えをお願いいたします。
■市民の夢がかたちに
 福田市長 昨日、愛宕山売却に関する金融の段取りは全て完了しました。入金も支払いも終わり、岩国市には、愛宕山の負債は1円も残っていません。
 これは愛宕山に開通した道路の写真です。商業高校辺りで信号機も付いています。もう通られましたか。まだの方は是非通ってみてください。
 次は医療センターの工事現場です。随分進んでいるでしょう。来年3月24日に一日かけて引っ越しするそうです。入院患者さんも書類も全て黒磯から愛宕山に移転させるそうです。次の日は一日休院して準備に当て、3月26日に開院することが決まっています。私も日程を明けておいてくれと言われました。来年のこの頃には愛宕山で診療しているんです。地上11階建ての病院になります。
 同じ愛宕山に建つ灘海園も、同時期頃の開園を目標に工事を進めています。この写真は灘海園と医療センターの工事現場で、かなり広い道路が出来ています。この反対側の土地を国に売却しました。市民の要望の高かった野球場、陸上競技場等のスポーツ施設や文化交流施設を国が建設することになっています。出来るだけ早期着工をして頂けるよう国と協議しています。じわじわと夢がかたちになっています。
■県東部の拠点都市として
 山本氏 空港と岩国医療センターの2つの施設が象徴するように岩国市が県東部地域の拠点都市として重要な役割を担っていかなければなりません。その上で拠点都市岩国としてアクセスを整備しなければなりません。規格の高い道路を県内各地からこれらの施設につながるようにしなければなりません。
 全国見回しても、同規模都市で4車線道路の環状道路がない都市は岩国市だけです。大事な施設、空港も含めてですね、これに高規格のアクセス道がないのは非常に問題です。早急な高規格道路の整備が課題です。
 福田市長 空港や病院に行く緊急道路の整備が課題です。岩国大竹道路の南進も国と県で予算が付きました。国や県に地元県議や山本さんにも働きかけて頂いて予算を確保し、これらの施設へ充分なアクセス道を整備して参ります。
 平田バイパスから欽明路にぶつかる手前の道路をどうにかして頂きたいと要望があったのですが、県が平田バイパスから続く道路にトンネルを造り、川に橋を架け、御庄の道に出るよう整備することが決まりました。これを通ると新岩国駅方面や関関バイパスも近くなりますし、将来、市内環状道路のように岩国の形を作っていきたいと考えています。同時に大竹道路が中心を通り、市内縦横に道路が延び、都市機能を強化したいと考えています。山本さんのお知恵を借りたいと思っています。
 山本氏 南バイパスが藤生まで来てますが、まだ半分しか出来ていないんです。実は4車線道路なんです。これを柳井まで伸ばさなければなりませんね。
■まちづくり等プロジェクト
 福田市長 この写真は医師会病院の敷地内に造っている療育センターです。リハビリセンター内でやっていたんですが、手狭で充分な療育、リハビリが出来ないと保護者から要望があり、私の政治判断で2年前から工事を始めました。建物は完成しています。これで充分な療育の場が提供できるのではと思っています。このように福祉にも力を入れて参ります。
 駅は年度内ぎりぎりの3月30日にデザインが決まりました。2年前より山本さんの紹介で国土交通省から来て頂いた新階審議官にいろんなプロジェクトに加わって頂いていました。彼は大変優秀で岩国駅改築や愛宕山とかまちづくりなどのプロジェクトに携わって頂きました。4月1日から国土交通省に戻り、震災復興のチームを束ねる役職に就かれましたが、最後に岩国駅のデザインだけは仕上げるんだと言って私や委員の皆さんに渡してくれました。これをしっかり形にしていかなければなりません。
 東口との自由通路は幅6m長さ100mでゆったりしています。従来の地下道も長さが200mありましたが、これも100mになります。
 緩やかなスロープになって自転車も楽になります。エレベーターも東口西口と合わせて5基付きます。何度もデザインを修正したのですが、何とか形になりました。
 これに合わせ駅前広場も一緒に整備しますが、どこか岩国らしいデザインにしていきたいと思っています。JRさんと協定を結んで工事に入ります。JR、国土交通省との協議、まだいろいろ残っています。山本さんと一緒にやっていきたいと思っています。
■決断と実行力
 山本氏 皆さんにお伝えしておきたいことなんですが、岩国駅舎改築は「夢をかたちに」の代表なんです。今までも懸案でしたが、形にしたのは福田市長です。
 駅舎を改築してくれとJRに言ってるだけでは何も進まないんです。自由通路を造るのは市の事業で市の都市計画事業なんです。福田市長が当選され、やると決断され、推進された。そういう取り組みが大変重要なんです。
 まさに「夢をかたちに」なんですね。かつて駅舎改築や駅前広場の改修は国鉄がやりました。20年前に民営化してJRという一私企業になると、利潤を求めるから出来ないんですね。都市計画になるんです。その一例として岩国も取り組む。これは市長のリーダーシップがあって初めて前に進むんです。
 福田市長 1期4年間ずっと決断する日々の積み重ねでした。決断しなければ前に進まない。悩みながら決断してきました。岩国市の10年先50年先を考えると、今決断しなければならないんです。決めたからには情熱を持って迷わず実行し、完成させなければならない。そのためには予算の裏付けがなくてはならない。それも考えながら進めていきたいと思っています。
 川下地区もいろいろ事業を予定しています。川下は門前川と今津川に囲まれた三角州です。私は今回の選挙でも「安心安全のまちづくり」を公約に入れました。これを実現するためにもまちづくりに力を入れたいと考えています。平成14年の台風で川下は危機一髪だったんです。
 一番先端の楠町は後20cmまで水が押し寄せてきたんです。決壊していたら川下は水浸しですよ。先日も避難訓練をしました。護岸を高くし、しっかりとしたものに作り替えようと予算化しました。他にも色々ありますが、皆さんと共に防災に強い、安心安全のまちづくりをして行こうと思っています。
 防災行政無線の整備や学校耐震化を早くしていこうと思っていますが、これも予算が必要で防衛省や文科省国土交通省にお願いしなければならないんですが、これも山本さん、一緒にお願いします。
 山本氏 川下地区では長年、先輩達が志を持って区画整理でまちづくりをしようと取り組んでこられたんですが、時代も変わり、区画整理では時間がかかりすぎて駄目だということで、市長が他のやり方でまちづくりをされることを決断されました。
 排水、下水道工事や道路整備など出来るところから施設整備を始めて順にまちづくりをしていく方法です。実のある方法でまちづくりをすることを決断されました。しかし、これも財源が必要です、市長と共にあらゆるところから財源を見付けて引っ張ってくる、一つ一つ片付けていく、前に進めていく事が課題なので一緒に協力してやっていきたいと思っております。
■共同と自主・柔軟性が重要
 福田市長 これからのまちづくりは行政が絵を描き「はい、これをやりますよ」というのではなく、地域の方々と協力して一から一緒に考えていく。連携して協働する方向に進めなければならないと思うんです。住民も地域に一層愛着がわくわけですから、一石二鳥です。そのため川下でもまちづくり協議会を立ち上げていただきました。少ない予算でも優先順位を考えて自主的にやっていくことで前に進み、形になるわけです。
 他の地域も同じです。それぞれの地域にそれぞれの特色や魅力があり、それを活かさなければならない。そのためには組織ももっと柔軟に対応できるようにしなければならないと考えています。
■知事選について
 福田市長 山本繁太郎さんは肩書きにある通り、地域活性化のプロですが、知事選立候補を表明されました。これまで4年間一緒に仕事をしてきました。山口県、岩国市を隅々まで歩いて課題や問題点を持っておられます。このような方に、県、岩国市を含めた東部地域の発展のためにも尽力いただきたいと思います。皆さまもそうお思いじゃないですか。仕事がさらにスピードアップします。
 山本氏 ありがとうございます。二宮会長のご紹介にもあった通り、福田市長が衆院議員を辞め市長選に当選された。私は福田さんの守ってこられた議席を死守するため補選に出るために帰ってきたんです。
 最初の弥生会の設立総会に呼んでいただきました。3月17日でした。皆さまがどうしても当選させなければ、と必死で応援していただきましたが、力及ばず、その後の選挙も駄目でした。国政は混迷しており、ぜひ政権を奪取しなければならない。今度という今度はとやって参りました。隅から隅まで歩き、この地域を熟知していますので、この地域のため働こうと思っておりました。
 いろいろ考え、この夏の山口県知事選への出馬を決意しました。福田市長と一緒にやって来て目指すところ、考えるところはほとんど一緒です。これからも二人三脚で課題を一つ一つ片付けたい、そういう決意です。
 福田市長 二宮会長をはじめ、弥生会の皆様方には大変よくしていただいております。ぜひ私たちにに仕事をさせてください。必ず皆さま方のご期待に添えると思います。弥生会の皆さまにはこれまでもお力添えを頂きましたが、今後ともお支えくださるようお願いいたします。

(平成24年4月)