6月28日
錦帯橋に見る日本の木の文化
ー錦帯橋に時代、ヨーロッパはどんな橋をつくったかー
名古屋大学大学院教授 佐々木 康寿 先生を講師にお迎えして
講演会がありました。
会場は岩国市民会館小ホール。
午後2時開演。
金曜日の午後からなので、少ないに違いないと心配して行きました。
案に相違して、100人以上は集まっていました。
やはり富士山の世界遺産登録が刺激になったのでしょうか?
ただ、男性が多い‥‥。
若い女性は、見たところ皆無!!
若い方がおられたら、ごめんなさい<(_ _)>
後ろの方は見えなかったので‥‥(^^;)
両目蓋が仲良くなる時間でしたが、
お話のテンポが良く、
気がつけば2時間が経っていました。
CO2排出循環から錦帯橋を語っておられ、
日本の森林は荒廃が進み、現状は孤独死寸前だと話されました。
その当たりのことについて、もっとお伺いしたかったのですが、
時間が無く、とても残念でした。
錦帯橋が地球温暖化を抑制し、森林を救う?
今回は、佐々木教授の専門が木材強度学・木質構造学・木質環境設計学ということで、今までの講演とはかなり違っていました。
木材・木質の特性から、錦帯橋の特異性や有用性を語っておられました。
実際の写真や図を使って、
ヨーロッパの木造橋の歴史や17世紀18世紀頃につくられた木造橋の構造や材質、特質、補修法等を、
その後、現在造られている木質橋の構造、材質、特質を解説されました。
錦帯橋については今回は解説が無かったのですが、
(当然知っていることを前提としての講演会)
同時代造られたヨーロッパの木造橋と比べて何が錦帯橋は違うのかを次のように述べられました。
錦帯橋は
・材料はオリジナル
・使用木材種・部位は変えていない
・形・構法・構造は創建当時を維持
・材料を循環利用
・大工による技術の伝承・工法が変わっていない(無形遺産の継承)
錦帯橋を代表とする伝統的木造文化建築には、現代では失われている、精神的価値・宗教観・歴史観・死生観・古代からの日本の歴史というものがあり、それは論理だけでは説明がつかないものである。
錦帯橋は、ヨーロッパの合理主義とは違う日本人の価値観や精神性(文化)から造られ、今日まで引き継がれている。
エコの観点から錦帯橋を考える。
錦帯橋は木材でできている。
木は二酸化炭素を吸収し、酸素を排出する。
その排出量を計算すると、225tの二酸化炭素排出量を軽減することができる。
それは一般的な乗用車1台が40年間排出する二酸化炭素と同量。
錦帯橋の資材、永続的循環資源としての木材使用により森林の持続性を維持し、温暖化の抑制になる。
最後に
現在の日本の森林は荒廃し、孤独死寸前である。
日本は国土の67%が森林であり、フィンランドに次ぎ世界第2位の森林保有国である。
その面積は戦後60年変わっていない。
けれど、現需要量の80%は輸入に頼っており、有効利用されていない。
森林の年齢分布図を見ると、40年50年を頂上にピラミッド型をしている。
若木が植林されていないのである。
森林の分布図もフラットな形が望ましい。
使える樹木を使い、間伐と植林を繰り返し、森林を育てることが重要であると、結ばれた。
佐々木先生のホームページ
名古屋大学大学院大学
・生物材料工学
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